2015年にイングランドで開催されたラグビーワールドカップ。この大会に出場した日本代表は、圧倒的な格上とみなされていた南アフリカに34-32で競り勝ち、世界中に衝撃を与えました。そして4年後、2019年のワールドカップ日本大会は、進化した代表チームが初めてベスト8進出を成し遂げ、日本中のファンに大きな感動を与えました。
ラグビーに興味がなくても、ニュースを覚えているという方もいらっしゃるでしょう。
さて、そうして認知度が高まってきているラグビーですが、15人制と7人制の2種類のゲーム形式があることをご存知でしたか?
オリンピックでは7人制が採用されています。人数が約半分。
サッカーが11人から5人になったら?野球が9人から4人になったら?ちょっと想像ができないですよね。
ではラグビーの”7人制”とは?
試合展開などにどのような違いが生まれるのか、そのあたりの詳細をまとめました。
ラグビーは15人制と7人制の違い
とりあえず、主な違いをまとめています。左が15人制、右が7人制です。(フィールド上での細かいルールは省略)
プレイヤー人数 | 15人 | 7人 |
---|---|---|
フィールドの大きさ | 同じ | |
試合時間 | 40分ハーフ(計80分) | 7分ハーフ(計14分) |
得点 | 同じ(トライ5点、コンバージョンキック7点、ペナルティキック3点) | |
試合数 | 1日に1試合 | 1日に複数 |
ポジション | フォワード8人/バックス7人 | フォワード3人/バックス4人 |
ベンチ登録 | 23人 | 12人 |
控え選手 | 8人 | 5人 |
選手交代 | 8人まで可能 | 5人まで可能 |
ハーフタイム | 15分 | 2分以内 |
スクラム人数 | 8人 | 3人 |
イエローカード(シンビン) | フィールドから10分退出 | フィールドから2分退出 |
フィールドの大きさが同じなのに、人数が少ない。試合時間も短い。この部分がまず大きな違いですね。
7人制ラグビーの起源
7人制ラグビーの起源は古く、最初に考案されたのは1883年。ラグビーが競技としてルール整備されたのは1845年のため、約40年後です。
スコットランド南部のボーダーズ地方メルローズのクラブチームが財政難に陥っており、資金調達のために大会を画策しました。
その際、費用を抑えるためのアイディアとして、地元の肉屋に勤務していたネッド・ベイグとデビッド・サンダーソンが「15人じゃなく7人で、短い時間でプレーすればどうだろう」と提案。この案が受け入れられ、1883年4月28日に世界で初めて7人制ラグビーの大会が開催されました。この時集まったのも7チームでした。
ラグビーのポジションと役割
15人制と7人制の違いもう少し詳しくみていくにあたって、ポジションにも触れます。
ラグビーには、大きく分けてフォワードとバックスと呼ばれるポジションがあり、攻撃や守備の役割ごとに細分化したポジションが存在します。
①フォワード
フォワードとは、文字どおり前線で攻撃を担うポジションで、スクラムを組むメンバーのことを指します。
筋肉質で大柄な選手で構成され、ボールを奪い合ったり力強く突進して相手チームを蹴散らす役割を担います。ぶつかり合って倒されてもまた起き上がる力強さがフォワードの特徴です。
15人制の場合、フォワードには、スクラムをコントロールしながら足でボールを扱うフッカー1人、スクラムで激しい攻防戦を繰り広げるプロップ2人、フッカーとプロップを押し込むロック、その後方のフランカー、そしてフォワードを最後方からコントロールするナンバーエイトがいます。
7人制ではフォワードが3名のため、フッカー1人、プロップ2人になります。
②バックス
バックスとは、フォワードが獲得したボールをいかに攻撃に結び付けるかを考える頭脳集団だといえます。素早くパスを回したり、どこに走るかを考えたりする判断力と俊敏さが必要になります。
バックスには、パスやキックで攻撃の体制をつくるスクラムハーフ1人と、攻撃を選択して戦術を考えるスタンドオフ1人、相手にぶつかって攻撃を止めたり、相手を振り払う攻守に優れたセンターが左右1名ずつ、味方が繋いだボールを得点につなげる役目を担うウィングが2人存在します。そして、15人制ラグビーでは最後の砦として一番後ろに立つフルバックと呼ばれるポジションがあります。
一方7人制は、スクラムハーフ1人、フライハーフ1人、センター1人、ウィンガーまたはフルバックが1人の4名がバックスとなります。。
15人制と7人制で共通する部分は?
試合を行うフィールドの大きさと、基本的なルールは人数が変わっても同じです。
フィールドの大きさは長さ100m、幅70m。同じ広さで人数だけ減るため、15人制の試合と比較して1人あたりの守備範囲が大きくなり、個人の能力が際立つ試合展開になります。
ボールを奪ってもパスをする人数が限られますので、一人でボールを抱えて走り抜けるシーンも増える。
基本的なルールは、ボールを前に投げたり落としたりするのはルール違反となります。ボールを前に蹴るのは問題ありません。
得点も共通しており、相手のゴール領域内でボールを地面に接する「トライ」が5点、トライ後にゴールポスト間にボールを蹴る「コンバージョンゴール」が2点、ペナルティキックによるゴールと、ゴールポスト間にボールをワンバウンドさせて蹴る「ドロップゴール」が3点となります。
15人制と7人制で異なる部分は?
違いは、試合展開がとにかく早いことです。
試合時間は15人制のゲームが前半40分・後半40分の合計80分に対し、7人制は7分ハーフの14分と非常に短いのが特徴です。
選手一人一人が一瞬たりとも気を抜くことなくパワフルでスピーディな試合を繰り広げます。
また、15人制の試合は1試合終わるごとに数日の間が空きますが、7人制の場合は1日に複数試合行います。1試合の時間は短いですが、複数試合を観戦できる点が7人制ラグビーの魅力の一つであるといえます。
15人制ラグビーと7人制ラグビーの違いまとめ
15人制のラグビーでは、大勢の選手がぶつかり合ってボールを奪う力強い印象が特徴ですが、7人制のラグビーでは選手個人のスキルがより高く、相手とぶつかりながらも走り抜けるスタミナと走力も勝利に必要な要素となっています。
試合時間も短く、短期決着の勝負のなかでの瞬時の駆け引きやスピーディーな展開が見どころ。
7人制ラグビーはセブンズという名前で親しまれており、このセブンズの主な国際大会は夏のオリンピック、セブンズワールドシリーズ、ラグビーワールドカップセブンズなどがあります。実はセブンズの日本代表も15人制に負けず劣らず、2016年のリオデジャネイロ五輪では世界ナンバーワンのニュージーランドを破る大金星を上げました。
人数の違いや細かなルールの違いはあっても、勝負の熱と勝利の興奮は同じ。次も応援しましょう!