体操の『ゆか』競技をご覧になったことがある方はご存知かもしれませんが、男子と女子でそのイメージは大きく変わります。
その大きな違いは、男子選手は音楽に合わせないこと。
同じ採点競技であるフィギュアスケートでは、男子も女子も音楽に合わせて競技をしますよね?
いったい、どうして体操には男女の違いがあるのでしょうか?
今回はその謎に迫ってみました。
そもそも体操の『ゆか』のルールは?
体操の『ゆか』は、12メートル四方の正方形のゆかで演技を行う種目です。
ゆかの前面を使った演技が求められ、演技中に必ず四隅に一回ずつ到達しなければなりません。
これは男女共通のルールです。
ただし同じ『ゆか』競技でも、男子と女子ではルールや競技の傾向に多少の違いがあるのです。
体操は男女で演技に求められるものが違う
男子選手の競技に多く求められるものは
・強靭さ
・柔軟さ
・技のダイナミックさ
なのに対し、女子選手の競技に多く求められるものは
・優雅さ
・バランス(一定姿勢を崩さない)
・美しさ、リズム感の良さ
と、男女で違います。
もちろん男子選手にもバランス性は求められますし、女子選手もダイナミックな技を披露すれば評価されますが、主に採点に大きく響く項目は上記なのです。
女子選手にだけ曲を用いる理由はその演出性も見られているから
男子選手が技そのもののクオリティや難度をメインに採点されてるのに対し、女子選手はそれに加えて対し演出性も兼ね備えた表現を求められるため、音楽に合わせて演技をするのです。
そのため、演技の時間も異なり、男子選手の演技時間は70秒、女子選手の演技時間は90秒となっています。
女子選手は、音楽と動きがあっていないと減点の対象となります。
演技の難易度はどちらも互角…!?
このように言うと、男子選手の『ゆか』競技のほうが表現的なものがいらないので簡単なのでは?と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、それは違います。
まず、男子選手が求められる強靭さや柔軟さをアピールするためには、男子選手にしか出来ない力技や、危険が伴う高難易度の倒立技などをしなれけばなりません。
演技時間が短い分、難しい技を詰めて行わなければならないため、瞬間的な火力を必要とします。
一方女子は、男子のような力技や倒立技はありません。力押しではできない内面的な表現や、優雅さを極めることが女子の『ゆか』であり、それぞれおなじ競技とはいえ全く異なった方向性をもっているのです。
一つの競技で二度おいしい『ゆか』
おなじ名前とはいえ、男女で全く違う方向性の競技である『ゆか』。
一度の観戦でアクロバティックで手に汗握る男子選手の演技と、優雅で美しくドラマティックな女子選手の演技を楽しむことができる、とても見ていてワクワクする種目です。
みなさんも、ぜひ一度で二度おいしい、『ゆか』競技。男女のそれぞれの魅力を感じながら、観戦してみてくださいね!!