【五輪体操】力と技のバランスが魅力的な体操競技の種類(男女別)やルール概要を解説!

オリンピック体操競技のルールや見どころ解説 体操
体操

体操競技には多数の種目があり、どの種目においても難易度の高い技が次々と出されます。内村航平選手をはじめ、ずば抜けた身体能力とバランス感覚を合わせ持つ選手が続々と誕生しています。

今回は、体操競技についての見どころをご紹介します!オリンピック前のおさらいにご覧ください!

体操競技の歴史と採点方法の推移

体操競技は、1896年のアテネ大会から始まりました。始まった当初は男子種目のみでしたが、1928年のアムステルダム大会から女子の参加も可能になりました。

体操競技の採点方法は、長きにわたり10点満点制度が導入されていました。この採点方法では、選手の得点が僅差もしくは同点になりやすく誤審を招きやすいことから廃止されました。

2006年からは技の難易度を得点化したDスコアと、演技の美しさや出来栄えに得点を与えるEスコアの合計点を競うシステムになりました。

Eスコア(Execution=技の完成度)は10点からの減点方式。種目ごとに定められた項目(体の安定、伸び、姿勢、着地やその他)のミスに応じて、0.5点、1点と減点されます。一方のDスコア(Difficulty=技の難度)は上限の無い加点方式で、高難度の技を繰り出すほど得点は伸びます。

しかし、高難度の技ほどEスコアを落とさずに演じるのは困難となるため、Dスコア、Eスコアのバランスを考えて演技構成をどうするのかということも競技者には求められます。

男女の体操競技の種類と概要

体操競技の種類

体操競技は男子は6種目、女子は4種目あります。それぞれの種目について順番に見ていきましょう。

ゆか(男子・女子)

床の上で飛び跳ね、空中で回転し着地するまでの技レベルと演技の美しさを競います。

技を完璧にこなすことも重要ですが、着地の際にバランスが乱れてしまうと減点対象となってしまうことから、演技の最後まで気を抜けない競技であるといえます。

ゆかで使用される床材は、「タンブリングバーン」と呼ばれる特殊な構造で作られおり、飛び跳ねやすく高いジャンプができるように設計されています。

跳馬(男子・女子)

助走をつけて跳馬器具手前のロイター板を踏み切り、跳躍中の技の完成度と着地の安定性を競います。飛んで着地できれば良いわけではなく決められた着地範囲があるため、これを超えてしまうと減点対象となります。

この競技のはじまりは、古代ローマの兵士や若者が行っていた乗馬練習のための運動であるといわれています。

あん馬(男子)

種目名にもなっている「鞍馬」という器具上で、2本の腕のみで体を支えて止まることなく演技を行い、点数を競います。

流れるような演技をすることで高得点につながりますが、非常に腕力を要求されます。この競技のはじまりも跳馬と同じであるといわれています。

つり輪(男子)

地上から280cmの高さに吊り上げられたつり輪で、体を支えながら様々な演技を行う種目です。

あん馬と同じく腕力を求められ、さらにつり輪上で体勢をキープし続けるバランス力も必要です。ぶら下がった状態(懸垂)から、蹴り上がってつり輪上で体勢をキープする「蹴上がり」や、倒立状態から宙返りを行い懸垂する「グチョギー」などがあります。

平行棒(男子)

地上から200cmの高さに平行に配置された2本の棒を使用して演技をする種目で、棒を掴んで体を支持する技と、棒を握らず腕を置いて体を支持する技があります。

平行棒は、木馬練習の足場として使用されていたことがはじまりといわれており、腕の筋力や支持力がない子供たちのトレーニングのために平行棒を使用したという説があります。

鉄棒(男子)

体操競技の中で一番迫力があると言える鉄棒競技。高さ280cmの鉄棒で繰り広げられるダイナミックな技は、多くの観客を魅了してきました。

鉄棒競技は最終種目で演じられることから、他国と接戦である際には鉄棒種目の採点が勝敗を左右します。

段違い平行棒(女子)

男子種目と異なり、170cmと250cmの高さが異なる平行棒を使用して演技を行います。

低い棒と高い棒の間を手放し技で行き来し、車輪運動などの大きな技も使用しますので、女子種目でありながら迫力ある演技が見られます。

平均台(女子)

幅10cmほどの狭い梁状の板の上で演技を行います。歩行や跳躍、宙返りをして着地するためのバランス力が問われる競技です。

「個人総合」と「団体戦」について

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個人総合では、種目別競技と異なりすべての種目を一人でこなします。

人によって種目の得意、不得意がありますので、すべての種目で上位を狙うのは極めて困難であるといえます。勝利するためには、全種目でミスなく演技を行い、さらに得意種目では最大限の力を発揮することが必要です。

一方で団体戦では、各国から4人ずつエントリーして種目の合計得点で競います。

予選ではメンバー4人が全員演技を行い、各種目の得点が高い3人の点数を合計します。決勝戦で演技をするのは3人で、全員の得点を合計した点数で競います。

団体戦はそれぞれの得意種目で勝負できるところが選手にとってやりやすいところ。一方で自分のミスがチームの敗退につながることから、大きなプレッシャーがかかります。それをはね除けて最高の演技を披露することが求められます。そこで、チームごとの点差から選手たちの気持ち想像してみたり、次の競技で何点取ったら勝てるのか?というところも団体競技の見どころになるでしょう。

技に選手の名前がついているのはなぜ?

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あとは小話を一つ。

リオデジャネイロ五輪で白井健三選手が成功させた、跳馬の「シライ2」は、皆様の記憶に新しいのではないでしょうか。

このように体操では選手の名前がついた技が多数存在しますが、なぜそのようなことをするのでしょうか。

体操の技名は演技内容をそのまま並べただけのもので、技が複雑になるほど技名が長くなってしまいます。そのため、選手の名前を使用することで分かりやすくすると同時に、技を成功させた選手に敬意を表する意味も込められているといわれています。

基本的には、世界選手権や五輪などの大きな大会において、新しく開発した技を成功させた選手の名前が技名になります。

ちなみに、白井健三選手が成功させた跳馬の「シライ2」は、本来は「伸身ユルチェンコとび3回半ひねり」という技名です。

「伸身ユルチェンコとび3回半ひねりが決まったぁ!!!」よりも「シライ2だ!」の方が実況のカロリー負担も減ります(笑)視聴者側としてはどちらで聞いても技内容を知らないとピンときませんが、それでも個人の名前の方が、アスリートたちの鍛錬の歴史が感じられますね。

体操競技の概要まとめ

いかがでしょうか?体操の種目の種類や各種目の概要についてご紹介してきました。体操競技は種目ごとに腕力やバランス力など求められる力が異なります。しかし、すべての種目に共通しているのは美しく魅せる演技力や、指先から頭の先、つま先まで気を緩めることなく演技し続ける集中力です。それらをすべて発揮して技を繰り出すアスリートの姿からは、人体の限界を超えて挑み続ける彼らの魂を感じられるでしょう。

技を競い合う”競技”でありながら、審判・観戦者を魅了する”演技”でもある体操。次のオリンピックでは、このページを参考に一歩踏み込んで楽しんでみてください!!

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