暑い日が続きますがお元気でしょうか?
2012年のロンドン五輪で個人・団体戦ともに銀メダルを獲得したフェンシングの日本チーム。そのなかでもリーダーを務め、個人戦でも銀メダルを獲得した太田選手は、特にピックアップされ非常に注目を浴びていましたよね。
しかしですね、日本チームの功績や努力・情熱やドラマははしっかりと余すことなく堪能できたとしても、肝心のフェンシング自体の試合展開はよくわからなかった…。とおっしゃる方も実はいるのではないでしょうか?
今回は、そんなフェンシングの基本ルールについて見るべきところをポイントに絞ってご紹介いたします!!
フェンシングの基本は三種目
フェンシングには大きく分けて三種目に分かれます。それぞれ攻撃の有効面も用具も異なっています。
フルーレ
フェンシングのなかでも、最も競技人口の多い代表的な種目です。日本で太田選手が銀メダルを取得したのもこのフルーレです。
柔軟性のあるしなる細長いブレードを用い、攻撃の際は突きのみが有効となります。攻撃の対象は胴体のみで、腕や足を攻撃し、突くことができたとしても得点にはなりません。攻撃権というものが存在し、攻撃権のないときに選手へと攻撃をしても、得点にはなりません。
サーブル
サーブルの他の種目との大きな違いは、突きだけではなく斬りによる攻撃も有効となります。サーブルはフルーレよりも剣身が太く、より剣に見た目の近いもので、攻撃の有効面も広く胴体にくわえ両腕を含む上半身のすべてが攻撃の有効面です。サーブルにも攻撃権があります。
エペ
エペはフェンシングの中でもっとも中世の決闘に近いルールで行われる種目です。
攻撃の有効面は全身の全てでありますが、攻撃の方法は突きのみです。フルーレと同じくよくしなる細い剣を使いますが、全身が対象となるエペはスピード感と激しさが増します。また、エペには攻撃権がなく、試合時間中に選手の身体を突いたら得点になります。そのためさらに激しく、試合時間が短いのです。
用語は全てフランス語
フェンシングの聞きなれない用語のほとんどはフランス語です。
使用される代表的な用語には以下のようなものがあります。
- オンガード=フェンシングの基本姿勢
- マルシェ=一歩全身せよ
- ロンペ=一歩後退せよ
- ファンデヴ=突き
- フレッシュ=剣を伸ばした状態で相手に向かって走り出す攻撃
など、基本的にはフランス語を和訳したら意味はわかります。ただ、剣道の解釈「面」「こて」のように常用語とはべつにスポーツ用語として特殊に解釈されているものも多く、日本人には非常にわかりにくい仕様となっています。
これはスポーツだけでなくバレエのステップなどにもよくある現象ですね。
どのアクションを何と呼ぶのかは、観戦を重ねて覚えていくのが一番の近道かもしれません。
勝敗はどの種目もポイント制
フェンシングの勝敗はすべてポイントの獲得により決まります。これはフルーレ、サーブル、エペの三種目に共通しています。
フルーレとエペは、3分を1ピリオドとし、3ピリオド行います。つまり9分間の制限時間があるというわけです。
1ピリオドごとに1分間の休憩をはさみながら、時間内に15ポイント先取したほうが勝利となります。
サーブルは、どちらかが8ポイントとったところで1分の休憩に入り、再度試合を開始し、15ポイント先取したほうが勝利になります。なお、15ポイント同点のまま試合が終了した場合は、サドンデスマッチに入ります。どちらかが1ポイント取った時点で、試合は終了します。
攻撃権が勝利のカギをにぎる
攻撃権の存在しないエペを除いたフルーレ、サーブルには攻撃権というものが存在します。
この攻撃権こそがフェンシングを見る際に最もカギとなる部分であり、素人がフェンシングを見ていてわからなくなるところでしょう。
2人が並びあった状態で、先に腕を伸ばし剣先を向けた方が攻撃権を獲得します。その剣先を相手選手が避ける、そらせる、間合いを取って逃げ切るなどした場合には、攻撃権は相手選手にうつります。
この攻撃権をもった状態でそれぞれの種目の有効面をつかなければ、ポイントにはなりません。
フェンシングを観戦する際に、この攻撃権の判断ができるようになれば、それまでと全く違った見方ができると思います。しかしこの攻撃権は、審査員の方々沢山ビデオを見て判定することもあるほど判断が難しいものもあり、非常にシビアなのです。
選手としては、攻撃権が認められることがまず試合の勝利への道とも言えるでしょう。
さて皆さん、フェンシングの試合を次に観戦される際には、ここでご紹介したルールを思い出していただくと、今までよりほんの少し深く楽しめるのではないかと思います。
次のオリンピックで再び日本選手の活躍が見られたらいいなと思いながら、私たちもマルシェ(一歩前進)してゆけたらいいですね!!