オリンピックの近代五種とはどんな競技?五種目は何をする?ルールや雑学まとめ

近代五種とはどんな競技? そのほかのスポーツ
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そのほかのスポーツ

みなさんは「近代五種競技」を知っていますか?初めて聞いたなら、なんとなく「複数の競技を行うのかな」と想像できても、中身はさっぱりではないでしょうか。

近代五種は、文字どおり異なる5つの種目を1人の選手が1日でこなすハードな競技です。まったくタイプの異なるスポーツを1人で5つマスターしなければなりません。

さて、このページでは近代五種はどんな競技を行うのか、ルール、そして起源などその奥深い世界に触れてみてください。

近代五種競技とは?

近代五種競技とは、1人の選手が1日の間にフェンシング、水泳、馬術、レーザーラン(射撃とラン)の5種の競技に挑戦する複合競技のことです。

それぞれの種目で異なる技術が必要となるため、すべての種目をマスターするだけでなくそれぞれの種目に合ったコンディションに素早く切り替える技術も必要になります。

体力と精神力を極限までコントロールできる選手が勝利をつかむことから、「キング・オブ・スポーツ」とも呼ばれています。

近代五種競技の起源

近代五種の起源や種目内容

近代五種競技は近代オリンピックを提唱したクーベルタン男爵によって考案されました。古代オリンピックで行われていた五種競技(レスリング、円盤投、やり投、走幅跳、短距離走)になぞらえて、「近代オリンピックにふさわしい五種競技を」という想いから競技化されたといわれています。

近代五種競技としてフェンシングや水泳などが選出された理由は、ナポレオン時代のフランス騎兵将校の行動が基になっているといわれています。戦争中、自軍に戦況報告をするよう命令された騎兵将校は、馬で敵陣に乗り込んで敵を銃と剣で討ち、川を泳いで渡ったあとに自分の足で丘を駆け抜けたという逸話があります。この騎兵将校の行動に当てはまる競技を近代五種競技として採用したといわれているのです。

近代五種競技のそれぞれの種目のルールを解説

近代五種競技のルール解説

近代五種競技は、フェンシング、水泳、馬術で獲得した点数をもとにレーザーランに挑み、レーザーランの結果で最終順位が決まります。ここでは、それぞれの種目がどのように行われるのかを解説します。

フェンシング(エペ)

フェンシングは相手の全身が攻撃の有効範囲となる「エペ」で行います。

「ランキングラウンド」「ボーナスラウンド」の2試合開催され、「ランキングラウンド」では1分間1本勝負で総当たり戦を行い、勝敗によって得点が与えられます。「ランキングラウンド」の順位をもとに「ボーナスラウンド」を行い、下位選手から順に30秒1本勝負の試合を行います。

この2試合で獲得した合計点がフェンシングの得点となります。短時間で次々と試合を行うため、選手たちは瞬発力と集中力を切らさないよう己と戦い続けるのです。

水泳(200m自由形)

瞬発力を試されるフェンシングを終えたら、持久力とパワーが必要な水泳に移ります。

水泳を専門にしていた選手が副業として近代五種競技に挑戦することがあるといわれており、ハイレベルな戦いが繰り広げられます。水中は身体への負担が大きくエネルギー消費が激しいことから、いかに水の抵抗を避けながら効率よく泳ぎ切るかがポイントです。

2分30秒で250点獲得が基本となっており、このタイムよりも早く泳ぎきれば加点され、遅ければ減点されてしまうのです。

馬術(障害飛越)

乗馬では、競技場内に設置されたさまざまな障害物を飛び越えながらコースを周ります。

単体競技の馬術は選手と長年練習した愛馬とともに競技に挑みますが、近代五種競技の馬術では、あらかじめ用意された馬をくじ引きで決めるルールになっています。どんなに優秀な選手でも、貸与された馬との相性が悪く馬術が成功しないこともあるのです。

近代五種競技で勝利するためには、体力や技術だけでなく運を味方につけなければならないといえます。

レーザーラン(射撃5的+800m走を4回)

レーザーランが始まる前に、フェンシング、水泳、馬術の得点を1点=1秒に換算し、上位選手からスタートします。この3種目で獲得した得点がそのままスタート時のタイム差につながり、獲得点数が多い選手から徐々に競技がはじまる仕組みになっています。

射撃はレーザーピストルを使用し、50秒の制限時間内に10m離れた場所から直径6cmの的を狙って5回命中させなければなりません。射撃が終わると800mのコースを走り、その後また射撃に移るという行程を4回繰り返します。

長い距離を走ったあとに呼吸を整えながら精密な射撃を行わなければならないことから、身体と精神のコントロールがいかに重要であるかが想像できるでしょう。

「キング・オブ・マイナースポーツ」と呼ばれる理由

「キング・オブ・スポーツ」と呼ばれている近代五種競技ですが、認知度の低さや競技人口の少なさから「キング・オブ・マイナースポーツ」ともいわれているとか。

近代五種競技の競技人口は世界で約14,000人で、日本の競技人口は31人です。競技人口が一番多いといわれるバレーボールの競技人口は約5億人、次に競技人口が多いといわれるバスケットボールは約4億5,000万人ですので、近代五種競技がマイナースポーツと呼ばれるのも頷けます。

競技人口が伸び悩む原因は、多くの施設や競技用具を必要とすることと射撃種目が含まれていることが挙げられます。また、日本では銃刀法の許可がないと射撃が行えず、競技に参加できるのは自衛官などに限られていたことも原因の一つでした。しかし、競技加盟国の拡大や2012年からレーザー銃に変わったこともあり、競技人口は徐々に広がりつつあるといわれています。

近代五種競技の種目・ルール・豆知識まとめ

近代五種競技は1人の選手が5種目をこなす競技であり、身体能力と精神力のコントロールだけでなく運も味方につけなければなりません。競技人口が少ないことから認知度はあまり高くないのが現状ですが、1日で5種目を一気に観戦できることと順位の入れ替わりが激しいことから見ごたえがある競技だといえます。ぜひ東京五輪で観戦してみてくださいね。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました!

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