みなさんはフリースタイルスキーという競技をご存知ですか?フリースタイルスキーという名称は、実はいくつかの種目の総称です。パフォーマンスのクオリティを競ったり、障害物を越えながら着順を競ったりするなど、異なる特徴をもったスキー競技をまとめて”フリースタイルスキー”と言います。
ここでは、そんなフリースタイルスキーの各種目に関する基礎知識や豆知識をご紹介。冬季五輪や世界大会で観戦する際の簡単な予習にご覧ください!
フリースタイルスキーとは?
フリースタイルスキーは、アルペンスキーやクロスカントリースキーなどの練習を行う合間にアクロバットを行ったことがはじまりだといわれています。1992年のアルベールビル五輪からは正式種目として採用されており、近年も新しい種目が追加されるなど進化し続けている競技です。
この競技は、主に「モーグル」「エアリアル」「スロープスタイル」「ハーフパイプ」「スキークロス」の5種類で試合が行われます。
モーグルとは
モーグルは、斜面に設けられたコブの間を滑り降りながら、コース上にある2回のジャンプ地点で空中トリックを行います。モーグルとはノルウェー語で「雪のコブ」という意味ですが、ドイツの方言から名づけられたという説もあるそう。
バランスを保ちながらスムーズにコブの間を滑り降りられるかを採点する「ターン点」と、空中トリックのクオリティを採点する「エア点」、いかに速く滑り降りられるかを採点する「スピード点」の合計点数で競います。
ターン点は60点満点で、エア点とスピード点はそれぞれ20点満点で計算します。スピード点はコースの距離によってペースタイムが定められ、男子は9.7m/秒、女子は8.2m/秒の基準をもとに算出されます。
【モーグルの豆知識】斜面のコブの作り方とは?
モーグルで使用するコースのコブには、自然コブと人工コブがあります。
自然コブは名前のとおり自然に出来上がるコブのことで、たくさんの人が同じコースを滑ることでカーブ部分に雪が積み上がっていき、やがて大きなコブに成長するのです。
人工コブには圧雪車によって作られたものと、すべて人の手によって作られたものの2種類があります。圧雪車を使う場合は平らなコース上に円錐状の山を作り、たくさんの人がコースを滑りながら形を整えていきます。すべて人の手で作る場合はコブの位置に目印となるポールを立て、こちらもたくさんの人がポールに雪をかけるように滑り降りて形を整えます。
自然コブも人工コブも、スキーヤーによって形作られていたのですね。
エアリアルとは
エアリアルは、ジャンプ台から空中に飛び上がって宙返りをして着地するシンプルな競技です。ジャンプの高さや技の完成度、着地の美しさなどが採点に影響します。エアリアルとは英語で「空中」という意味があり、滞空中の短い時間でいかに精度の高い技が決まるかどうかが勝敗を左右するのです。
エアリアルは、どのような技を行うかを自己申告してから試合に臨みます。空中へのジャンプ姿勢や跳躍の高さ、空中姿勢や着地を5人の審判によってジャッジされます。最高点を最低点を除いた3人の点数に、技の難易度点と着地点を足した点数が得点となります。特に厳しく採点されるのは空中姿勢で、背筋やひざを一直線に伸ばした姿勢を保たなければなりません。
スロープスタイルとは
スロープスタイルは、ジャンプ台や障害物を使ってアクロバティックな技を組み合わせて競う競技です。タイムを競う競技ではなく、パフォーマンスの難易度や着地の美しさなどを審査します。前半は障害物を使用したジブセクション、後半はジャンプ台を使用したジャンプセクションで構成され、ジャンプセクションでいかに高難度な技を繰り出すかが勝敗を分けると言っても過言ではありません。
スロープスタイルのコースは大会によって異なり、選手は会場に到着してはじめてコース内容を知らされます。ジャンプ台の大きさや高さ、障害物の種類などを試合直前に見極めて、どのようなコースで滑るかを判断するのです。
ハーフパイプとは
ハーフパイプは、ジャンプの高さと技の難易度・完成度を採点します。パイプを半分に切ったような形のコースを使用することから「ハーフパイプ」と名づけられ、壁の高さはビルの2階部分と同じくらいになるとか。左右の壁を滑り、勢いをつけて空中へ飛び上がる動作を5〜6回繰り返します。
ハーフパイプ競技はアメリカのゴミ処理場で誕生したといわれており、1979年にアメリカのスノーボーダーが雪に覆われたゴミ処理場の敷地を利用して練習していたそう。2014年のソチ五輪から正式種目となった、新しい種目なのです。
スキークロスとは
スキークロスは上記の種目と異なり、複数人で同時にスタートして着順を競う競技です。雪上の障害物競走とも呼ばれ、旗門やカーブ、ジャンプなどが設けられた1kmのコースを滑ります。レース中は選手同士の激しい駆け引きやせめぎあいが繰り広げられ、接触や転倒で順位が入れ替わることも。
勝敗が分かりやすく激しいレースが行われるため、観戦者の応援にも熱がこもります。
フリースタイルスキー解説まとめ
フリースタイルスキーには「モーグル」「エアリアル」「スロープスタイル」「ハーフパイプ」「スキークロス」の5種目あり、パフォーマンスの美しさや難易度を競う種目や着順を競う種目で構成されています。特に難しいルールを覚える必要がないため、観戦したことがない方でも楽しめるでしょう。雪上で繰り出される美技は圧巻です。冬季北京五輪の正式種目となっていますので、ぜひチェックしてみてください!