みなさんはショートトラックの試合を観戦したことはありますか？小さなリンク内で行われるショートトラックは、転倒や衝突が頻繁に発生し熾烈な順位争いが繰り広げられる非常にエキサイティングなレース競技です。
この記事では、そんなショートトラックの一番の基礎知識、レースのルール、そしてスピードスケートとの違いについて解説しています！世界大会や冬季オリンピックで観戦する前のおさらいにどうぞ！
ショートトラックとは?
ショートトラック（Short Track Speed Skating）は1周111.12mのトラックを使用し、集団で滑走して着順を競います。コースの奪い合いや選手それぞれの作戦によって目まぐるしく順位が入れ替わるエキサイティングな競技です。111.12mという中途半端な距離になってしまったのは、小さなリンク内で選手たちが安全にカーブを曲がれるようにコースを設定した結果だといわれています。
ショートトラックとスピードスケートの違い
ショートトラックとよく似た競技にスピードスケートがありますが、勝敗の決め方とトラックの使い方に大きな違いがあります。
ショートトラックの勝敗は着順によって決まりますが、スピードスケートは選手個人のフィニッシュタイムによって決まります。また、ショートトラックは複数の選手が同じレーンを走りますが、スピードスケートは2名の選手が内側と外側のレーンを入れ替わりながら走るのです。
ショートトラックの起源
ショートトラックはイギリス発祥説とカナダ・アメリカ発祥説があります。アイスホッケーやフィギュアスケートで使用する小さなリンクでもスケート競技が行えるように、と誕生したのがショートトラックでした。
冬季オリンピックでは、1992年アルベールビル五輪から正式種目として採用されました。現在は、男女それぞれ500m、1000m、1500mの個人種目と、男子3000mリレー、女子3000mリレーを合わせて8つの種目があります。
ショートトラックのルール
ショートトラックの試合は複数の選手たちがいっせいにスタートし、各レースの上位2人が準々決勝、準決勝、決勝と勝ち進んでいく方式で行われます。レース中はいつでも相手選手を追い越すことが可能ですが、選手を押したり引っ張ったりする妨害行為は認められません。
ゴール時はスリットカメラと呼ばれる特殊カメラによって、ブレードの着順を0.001秒単位で計測します。
ショートトラックの選手が身につける基本的な道具
ショートトラックは転倒や衝突の危険がともなうかなり危ない競技です。スケート靴にはブレードと呼ばれる刃がついているため、定められた装備の着用義務があります。
ヘルメット
転倒や衝突の際に怪我のリスクを最小限におさえるため、選手はヘルメット着用の義務があります。選手の負担にならないよう軽さと強度を重視した作りになっており、他の競技と衝突した際に怪我をさせないよう丸みを帯びた形で作られます。
グローブ
グローブには選手との接触による怪我を防ぐ目的のほか、トラックのカーブを曲がるときに左手を氷につけながら進むことから手指の保護の役割があります。摩擦によってグローブがすり減るのを防ぐため、左手の指先にチップを付けたり樹脂を塗って固めたりする選手もいます。
スケート靴
ショートトラックで使用するスケート靴は、昔からあるスケート靴と同様につま先からかかとまでブレードに固定されています。また、カーブで目いっぱい身体を倒しても靴が氷に接触しないように、ブレード部分と靴の部分が離れていて高くなっているのが特徴です。
ウエア・ネックガード
選手が着用するウエアやネックガードは、他の競技と同じように通気性がいい素材で作られています。ショートトラックは選手が転倒することが多いため、万が一対戦選手のブレードが当たってしまっても切れにくいよう、防弾チョッキに使われている素材を使用しています。さらに、転倒や衝突によって怪我をしないよう、強度があるシンガード（すね当て）も着用します。
ショートトラックの見どころは「コーナリング」
ショートトラック競技の一番の見どころはなんと言ってもコーナリングです。コーナーを曲がる際、スピードが速くなるほど遠心力によって選手の身体には強烈なGがかかっています。ほんの小さなミスでコースアウトして壁に激突してしまうため、遠心力に対応するべく身体を内側に倒し、手でバランスを取らなければなりません。
その様子を一度ご覧になってみてください。上の動画は2018年の平昌オリンピックのレースです。
ショートトラックのルールや基礎知識まとめ
ショートトラックは、フィギュアスケートなどで使われる小さなリンクで行われる競技です。複数の選手たちが一斉にトラックを走るため、衝突や転倒の場面が多く選手たちの順位がくるくる変わります。最後まで勝敗が分からずスリリングな試合を楽しめますので、コーナリングに注目して観戦をお楽しみください！