サッカーのワールドカップ開催の前後に、よく出てくる言葉があります。
大抵の場合、あまり美しくない荒れた観客席や激しく騒ぐ人たち、それを制する警備員などの映像とともに使用されます。
『フーリガン』
日本ではあまり聞きなれない言葉ですね。
このフーリガンと呼ばれる人たち、一体どのような人たちなのでしょうか?
今回はこのフーリガンについて迫ってみました!
語源ははっきりとしていないが、諸説ある
フーリガンという言葉の語源は、大まかにわけて三つあります。
『個人名』から来た説
当時非道の限りを尽くしていた「フーリハン」というアイルランド系一家の名前から来たとされます。
『流行歌』から来た説
当時流行したいた歌で揶揄された、アイルランド系移民の代表的な名前から。
こちらははっきりとフーリガンと歌っています。
『集団名称』から来た説
当時のイギリスの新聞記事に登場したギャング集団、「フーリガンボーイズ」から広まった説。
いずれも19世紀のイギリス発祥であり、アイルランド系の人たちに深い関わりがあることから、当時のイギリスの移民問題が垣間見えます。
フーリガンと呼ばれる人たちの行動
フーリガンと呼ばれる人たちの行動は主に、大会が行われるサッカー場での迷惑・妨害行為です。
例えば…
・客席やグラウンドに非常に大きな発煙筒を大量に焚き、試合自体を妨げる。
・大声で歌い騒ぎ、立ち上がって暴れ、観客の邪魔をする。窃盗行為なども。
・武器などを持って観客へ暴力行為などを行い、負傷者やひどい時は死者を出す。
などの行為をする場合が多いです。
サッカー観戦を目的とせず、このような迷惑行為をして、日頃たまっている鬱憤や、やり場のない怒りなどをぶつけているようです…。
その多くは試合前に大量の酒や、覚醒薬などを使用し、酩酊や正常な判断ができない状態のことが多く、経済的に貧しく労働者階級のものやスラム街出身の者が多いと言われています。
フーリガン行為をしたらどうなる?
主にワールドカップでは、迷惑行為や危険行為ををしたものは、会場への入場禁止措置を取られます。
またフーリガンが特定のチームのサポーター(ファン、応援者、支持者)であった場合は、そのチームに対してもペナルティーが科せられ、安全性のために一切観客を入れないで試合をする、「無観客試合」を行う場合もあります。
また改善が見られない場合は、一定期間国際大会への出場を禁止される場合もあり、一観客だけではなく各チームの配慮も求められます。
海外では深刻な問題
フーリガンの問題行動はワールドカップで主に毎回深刻な暗い影を落としています。
輝かしい選手たちやチームの明るいニュースとともに新聞の一面、二面を飾ることも珍しくありません。
過去には、特に過激と言われるエジプトの「アル・マスリ」チームのフーリガンが、発煙筒を大量に焚いて試合はほとんど見えないなかで選手や敵チームのサポーターを襲撃。そのパニックで、73人もの観客が亡くなりました。
ほとんどテロ行為とも言える死者の数であり、逮捕されたフーリガン21名は死刑判決となりました。
このような事件では、もはや単純にサッカーの試合自体の問題ではありません。
そこには深い国の問題や、宗教などのスポーツ以外の争いが潜んでいる場合もあるのです。
フーリガンの目的が世界の政治問題の場合も
フーリガンたちの目的が、単なる憂さ晴らしではない政治的な目的を持っていることもあります。
例えば自国の国政や財政に対する不満を、世界的に報道されるワールドカップを通じて半強制的に公の場にさらすことを目的としたストライキ的なものであったり、特定の政治家や政党に対するバッシング的な意味で行うこともあります。
しかしながら、スポーツの場でそれを声高に主張するなんて、この日のために日々訓練を積んできた選手や応援する観客たちにとってはお門違いも甚だしい行動ですよね。
そのうえ非常に過激な行為が多いため、スタジアムに試合を観に行くという行為そのものに対する大きなリスクとなります。つまりフーリガンのやることが、結果的にサッカーというスポーツ自体をも衰退させてしまう恐れさえあるのです。
世界的に知られたスポーツのサッカーだからこそ、このような目的を履き違えた人々まで集まってくるのは仕方がないのかもしれません。
しかし、神聖なスポーツの場と言うことを決して忘れないで欲しいものです。