テニスの世界大会のテレビ中継等で耳にする、『ラブ(0)』『フィフティー(15)』『サーティー(30)』『フォーティー(40)』という点数のコール。
サッカーやバレーボール、野球などは一般的な数え方である十進法を用いた『1、2、3、4、5…』であるのに対しなぜこの様な変則的な数字なのだろうか。
今回はこの謎に迫ってみようと思う。
そもそもテニス何点取れば勝ちなのか
テニスの得点システムは、数字やその独特のコールによって複雑な印象を与えているが、簡単な話である。4ポイントで1ゲーム、6ゲームで1セット。つまり24ポイント連続で取れば、最速で1セット取ることができる。(3セットマッチなら2セット先取で試合に勝利、5セットマッチなら3セット先取で勝利となる)
24という数字でピンとくるものはないだろうか。そう。時間である。
そして時間に最も密接なもの。そう。時計である。
時計とテニスの意外な関係
諸説あるが、テニスの点数はもともと時計の文字盤を使って測定していたという話がある。
時計の針を0分→15分→30分→45分→再び0分(以下繰り返し)。このように4分の1ずつ回すことによって、得点を図っていたという説がある。つまりあの突然現れた奇妙な数字は、時計の分数であったのである。当時における得点盤の役割を、時計が担っていたのである。
ゼロがラブ?なぜ突然フォーティー?素朴な疑問
それではなぜ、0をゼロと呼ばずラブと言い、0から15、15から30と順調に15ずつ増えてゆく数字が突然40になるのか。
0をラブと呼ぶワケは非常にバラエティに富んだ説があるが、実に面白い説はforLove(フォーラブ)『無償の愛』から来ているというもの。紳士のスポーツらしい、ロマンティックな由来だ。
そして45であるはずの数字が、40になったのはなぜか。このワケは実に単純で、フォーティーファイブ、フォーティーファイブ、と毎度発音するのが億劫になった紳士達が、『フォーティー!(40)』と発音したことが由来である。いつの時代も、略語は存在したというわけである。
時代は変われど、変わらない優雅なコール
テニスはかつて聖職者や貴族のたしなむ優雅なスポーツであった。現代にいたってもそのなごりが点数のコールに残っており、それは改変されることなく今日まで続く。なお、一方が圧倒的に強く、一点も取ることができず負けた試合の事をテニスでは『ラブゲーム』という。英語の綴りももそのままlove game だ。一方的な愛は、どちらかに大きな敗北をもたらすという、スポーツ用語にしてはどこか詩的な言葉である。
皆さんも、テニスを嗜む際には、紳士淑女になりきって、高らかに得点をコールしよう。