子どもの習い事としても選ばれることが多い空手。五輪種目として初めて正式採用されたことで話題になりました。
日本の伝統的な競技である空手ですが、意外と「どんな競技?どんなルール?」と中身をよく知らないという方もいるのではないでしょうか。
この記事では、オリンピック前のおさらいとして、空手の歴史から競技内容まで詳しく解説していきます!
空手の起源と歴史
空手は、琉球王国時代の沖縄発祥の武術だといわれています。
琉球王国で生まれた松村宗昆(まつむらそうこん)という人物が、中国から帰国した人物に中国拳法を習い「首里手」と呼ばれる流派が完成したことが始まりだといわれています。
1920年代に沖縄から日本全国に広がり、第二次世界大戦後には世界各国にまで広がる武術となりました。今では193カ国が世界空手連盟に所属している国際的なスポーツにまで発展しています。
空手競技は2種目
空手競技と一言で言っても、種目が2つあります。
①型(かた)
攻撃技と防御技を組み合わせ、仮想の敵に対する一連の流れを披露する演舞種目です。
世界空手連盟が認定する102種類の形の中から選択し、7名の審判によって採点されます。
一度使用した形は同じ試合では使えないので、予選から決勝まで勝ち進むために少なくとも4種類の形を習得して臨まなければなりません。
どのタイミングでどの形を演舞するかという戦略も必要だと言える競技です。
突きや蹴りのスピードやリズムはもちろん、ブレない動きや技の意味を表した美しい演舞であることが勝利するための評価ポイントとなります。
実際に戦うことはありませんが、戦いを想定した演舞ですので相手を倒そうという気迫が伝わる種目です。
②組手(くみて)
2人の選手が1対1で戦う種目です。
攻撃の際には「突き」「蹴り」「打ち」の3種類の技を使用し、決められた部位に対して姿勢良く威力がある攻撃をすることでポイントになります。
攻撃部位は、頭部や顔面などの「上段」と腹部や胸部などの「中段」に分けられます。上段と中段への突きなどは「有効」判定で1ポイント、中段への蹴りは「技あり」で3ポイント、上段への蹴りや倒れた相手への突きは「1本」で3ポイントとなっています。
競技時間内に8ポイント差がついた場合と、3分の競技時間が終了したときの獲得ポイントが多い選手が勝利となります。
世界から愛される空手
日本発祥の空手ですが、競技人口はヨーロッパやアメリカの方が多いといわれています。
世界各国の中でも、アメリカは群を抜いて空手人気が高いといわれているのです。アメリカに空手が伝わったきっかけは、戦後の日本に駐留していたアメリカ兵の多くが日本人に空手を習っており、帰国後に空手道場を続々と開いたことがきっかけです。
アメリカ兵を虜にするほど愛された空手ですが、アメリカで一大ブームを起こしたきっかけは1984年制作の「ベスト・キッド(原題:カラテ・キッド)」という映画でした。とある少年が日系人に空手を習い成長していくストーリーで、この映画の影響から空手人気が広まったといわれています。また、2010年のリメイク版ではジャッキー・チェンが師匠役で出演し話題となりました。
空手の帯の色には意味があった!
さて、ここで小話を。
「白帯は初心者」「黒帯は有段者」といったように、帯の色で熟練度が異なることは有名ですが、実は熟練度以外にもこんな意味があったのです。
・無級「白」…まっさらな状態を表す
・10級、9級「橙」…行動意欲を表す
・8級、7級「青」…水のような心や精神を表す
・6級、5級「黄」…初心を忘れないという意味を表す
・4級、3級「緑」…精神の余裕を表す
・2級、1級「茶」…土台が完成した意味を表す
・初段「黒」…何にも染まらない強固な信念を表す
オリンピックで空手観戦を楽しもう!
空手は、「組手」の武術としての力強さと、「型」の演舞としての美しさという2つの見どころを持つ競技です。
一流選手の完成された型の演舞は惚れ惚れするほど。また組手の迫力と一瞬の攻防は目が離せません。そして、そのどちらも心技体揃ってこそのもの。アスリートたちの練り上げられた精神までもが競技としての魅了です。
東京オリンピックで種目として採用されたことで再び注目され、新たに学びはじめる「カラテ・キッド」達が生まれるでははないでしょうか!?