みなさんは射撃競技を観戦したことはありますか?射撃は世界でもメジャーなスポーツで、競技人口は500万人を超えるともいわれています。「標的を撃つ」というシンプルな競技ですが、たった1mmのズレが得点に大きく影響するシビアなスポーツなのです。
この記事では、射撃競技の基礎知識や豆知識を解説します!
射撃競技とは
射撃競技は銃を使用して標的を撃ち、正確さを競う種目です。固定された標的を撃つ「ライフル射撃」と「ピストル射撃」では、標的までの距離が10mから50mに設定されています。
種目によっては的の中心がシャープペンシルの芯ほどの大きさになるものも。射撃競技では、1mm単位の熾烈な争いが繰り広げられるのです。
射撃競技の歴史
銃の発明と発達にともない、15世紀頃から競技として射撃が行われるようになったといわれています。五輪競技としては第1回アテネ五輪から正式種目として取り入れられており、参加国数は陸上競技の次に多い競技なのです。
日本における射撃は、1543年に火縄銃が伝来したと同時に広がったといわれています。伝来当時は戦国時代真っ只中で、銃器は戦うための道具でしかありませんでした。明治時代に入って近代的な銃器が発明されたことで、スポーツとしての射撃が広まるようになったのです。1952年のヘルシンキ五輪からは、日本も五輪射撃に参加しています。
五輪での射撃種目を解説!
五輪の射撃競技は、大きく分けて「ライフル射撃」と「ピストル射撃」、「クレー射撃」の3種目行われます。ここでは、それぞれの種目について解説します。
ライフル射撃
ライフル射撃は、遠く離れた場所に設置されている円が書かれた標的を打って得点を競います。
点数は小数点一桁まで細分化されており、同じ10点でも10.0〜10.9点まであります。最高点の10.9点を出すには、5円玉の穴ほどの大きさしかない標的の中心を正確に撃ち抜かなければなりません。
トップ選手は高確率で10点台を叩き出しますので、いかに中心円を正確に撃ち抜けるかが勝敗を左右するのです。
撃つときの姿勢は立って行う「立射(りっしゃ)」がほとんどですが、競技によってはひざの上に銃を構える「膝射(しっしゃ)」やうつ伏せで銃を構える「伏射(ふくしゃ)」を組み合わせて行う種目もあります。
ピストル射撃
ピストル射撃は片手でピストルを構えて標的に向かって射撃する種目で、空気を圧縮して弾を撃つ「エアピストル」と、火薬を用いて弾を撃つ「ラピッドファイアピストル」の2種目あります。
銃を持つ手と引き金を引く手が同じなので、強く引鉄を引きすぎると照準がずれてしまいます。いかに静かに引き金を引けるかが勝負を決定するポイントとなるのです。
最大8秒間の制限時間内に5つの標的を連射する「ラピッドファイアピストル」は、迫りくる制限時間と葛藤する選手の緊張感が伝わる種目です。
クレー射撃
クレー射撃は、「クレー」と呼ばれる直径11cmの皿を散弾銃で撃ち抜く競技です。もともとは鳥を狩るために楽しまれていたものが競技化したもので、およそ400粒以上の鉛玉を集めた弾を利用して空中に放たれる「クレー」を正確に撃ち落とします。
五輪では「パウダークレー」を使用し、弾が当たった瞬間に空中で粉がぶわっと広がりますので見た目でも楽しめる競技です。
トラップ
クレー射撃の「トラップ」種目は、射撃場の中央に置かれた装置からクレーが遠くに飛び立つものです。選手は直線状に並んだ5カ所ある射台を順番に回り、1射台につき1枚のクレーが右・中央・左のいずれかに発射されます。空中のクレーを2発以内に撃ち落とせば1点獲得です。1ラウンドでは5カ所の射台を5周して25枚のクレーを射撃します。
スキート
クレー射撃の「スキート」種目は、射撃場の左右に置かれた2つの装置からクレーが飛び立つものです。選手は半円状に並んだ8カ所ある射台を決められた順番で回り、1射台につき1枚〜2枚のクレーが左右の装置から発射されます。トラップ種目とは異なり、1枚のクレーに対して1発しか打てません。「スキート」も射台を回りながら1ラウンドで25枚のクレーを射撃します。
射撃にまつわる豆知識
射撃選手たちは正確に標的を撃ち抜くために、さまざまな工夫を凝らしています。ここでは、あまり知られていない射撃競技の豆知識を紹介します。
目隠しをしている選手がいるのはなぜ?
私たち一般人は、射的などで的を狙うときに照準合わせのために片目をつぶりますよね。集中が勝敗を決める射撃競技では、片目をつぶると余分な力が入ってしまうので、照準を見ない方の目は目隠しで隠すんだそう。また、利き目と利き手が同じでないと正確な射撃ができないといわれており、あえて利き目を隠すために目隠しを使う選手もいるそうです。
クレー射撃は身体への衝撃が大きい?
クレー射撃では、散弾銃を打ったときにかかる身体への衝撃が800キロ〜1トン近くになるといわれています。これは小型の普通自動車1台分に匹敵する重さで、相当な負荷がかかることが想像できるでしょう。この衝撃に耐えられるよう、選手たちは体幹と下半身を強化するトレーニングを重ねています。
まとめ
射撃競技には「ライフル射撃」、「ピストル射撃」、「クレー射撃」の3種目あります。固定された標的を狙う「ライフル射撃」と「ピストル射撃」は、制限時間内にいかに中心を撃ち抜けるかが勝利のポイントとなります。「クレー射撃」では標的を確実に捉える視力と射撃能力が必要です。
実際に試合会場へ行ってみると、銃声の迫力も楽しめるのでおすすめですよ!
最後まで読んでいただき、ありがとうございました!